2010年09月18日

Paul Debevec氏講演会『From Spider-Man to Avatar, Emily to Benjamin: Achieving Photoreal Digital Actors』(2010/09/16)の超まとめ

講演タイトル
『From Spider-Man to Avatar, Emily to Benjamin: Achieving Photoreal Digital Actors』


詳しい説明は書いていません。講演の中でどのような話題に触れたがわかる程度の超まとめになっています。
あしからず。

Image Based Modeling
SIGGRAPH 96で通った「Modeling and Rendering Architecture from Photographs」の紹介からスタート。
いわゆるImage Based Modelingで撮影した写真からジオメトリを生成した。
この技術を使って制作したショートフィルム「The Campanile」(1997年のElectronic Theaterで上映された)




15枚の写真から計算して、カリフォルニア大学バークレー校のCGモデルを構築した。


構築されたモデルはシンプルだが、写真をテクスチャマッピングするとリアルに見える。


そして、SIGGRAPH 97のElectric Theaterで上映された「The Campanile」を見たあるVFXスーパーバイザーはこのImage Based Modelingを使って映画『マトリックス』のあの有名なシーンのバーチャル環境を制作した。
以下のページの中の「The Campanile Movie and The Matrix」で触れられています。
http://ict.debevec.org/~debevec/Campanile/





HDR, Photogrammetry
今度は、実際の照明を再構築する課題に取り組んだ。
HDR(High Dynamic Range)技術を用いた『Rendering with Natural Light』はSIGGRAPH 98のElectronic Theaterで、そして『Fiat Lux』というショートフィルムがSIGGRAPH 99のElectronic Theaterで上映された。

IBL_debevec_s.jpg


最近の映画でHDR、フォトグラメトリ手法が用いられたものとして
『G.I.ジョー』、パリの街をCGで構築


『ターミネーター4』、ロボットを演じる役者とロボットの差し替え


『アイアンマン2』でも同様の手法を用いている。




Digital Actors in Motion Pictures
コンピューターグラフィックスを初めて使った映画『TRON』(1982年)では、すでにDigital Characterが登場していた。
"Bit"というCGキャラクター。

注)左上に浮いているCGモデルのほうです。


過去10年間における、映画に登場する(代表的な)デジタルアクター



デジタルアクターに求められるもの
・Rendered from any viewpoint
・Rendered under any illumination
・Needs to be animated or directed to create any possible performance


Light Stage
Image Based Lightingの研究をした後、よりよいフォトリアルな人間のキャラクターを実現するにはどのようにすればよいかということに関心を抱くようになった。
そして、照明環境下でどのように人間の顔が反射するかについて興味をいだき、どのように反射するかを取得するデバイスを開発した。
それが、「Light Stage 1」で、1つのスポットライトを動かすものだった。


60秒かけてスポットライトを動かして、それをカメラで撮影して、データセットを作成する。




Light Stage 1.0については以下のページが参考になります。
Acquiring the Reflectance Field of a Human Face


Light Stage 2
『スパイダーマン2』のデジタルダブル(ドクオクなど)に使われた。





『スパイダーマン2』や『スーパーマン・リターンズ』に登場するデジタルアクターは、スタントダブルが使えないシーン、セリフのないシーンなどで使われていた。



The Curious Case of Benjamin Button
ごく最近、本物と見間違うデジタルアクターを登場させた映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』について



以下の4社によって、信憑性のあるデジタルアクターを実現した。
Rick Baker Studios(メイクアップスタジオ)
MOVA Contour(特殊塗料を塗って俳優の顔の形状を取得)
Image Metrics(ビデオを解析してフェイシャルアニメーションを作成)
USC ICT Light Stage(南カリフォルニア大学 ICTのLight Stage)

メイクアップではなく完全にデジタルな頭部を制作した。

歳を取ったブラッドピットは、Rick Baker Studiosが製作した模型(maquette)をLight Stage 5で撮影してデジタル化されたもので実現した。
ちなみにこの模型は、日本人のKazu Tsuji氏が製作した。





TEDに載っているビデオ






Digital Emily Project
英国Image Metrics社と米国USC ICT Graphics Labとのコラボで実現したデジタルダブル・プロジェクト。

以下のページに詳細が書かれています。
http://gl.ict.usc.edu/Research/DigitalEmily/





Avatar
『アバター』のいろいろな場面でデジタルアクターが使われた。







TRON:LEGACY
1982年に公開された『トロン』の続編となる『トロン:レガシー』にもデジタルアクターが登場する。
すでに歳をとった俳優を若返らせてデジタルアクターとして登場させるのは初めてと思われる。すごい!





参考ページ


Paul Debevec氏の著書『High Dynamic Range Imaging, Second Edition: Acquisition, Display, and Image-Based Lighting』




関連する映画
 

 

 

posted by akiras at 19:38| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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